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ありけんエッセイ集


有田健太郎のエッセイコーナーです
by ak_essay
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『時々タイムスリップ』 盛岡冷麺

7月に入り曇天の日々。
暑くてご飯を食べる気がせず、盛岡冷麺を食べた。

盛岡冷麺、、
普通の冷麺と違い、酸味があって濃厚で、かつあっさりで、麺も歯応えがありすぎておいしいんだ。


岩手の大学を卒業して、盛岡で一番といわれる盛岡冷麺屋で、皿洗いのアルバイトをしてた頃を思い出したよ。

よく有名人がやってきて、みんなが「だれだれ?」とホールを覗き込んでる隙に、卵やカクテキやチャーシューをつまみ食いしてたなぁ。(T_T)


ホールのウェイターをやりたくて面接に行ったのだが(憧れだった)、回されたのは厨房。
だけどやりはじめた皿洗いは嫌いじゃなかった。
目の前に山積みになった皿々をかたっぱしから洗っていくんだ。

「うおぉぉ〜」

サク、チャポ
シャコ、チャポ
サク、チャポ
シャコ、チャポ
きっとアマチュアの人には、動く手が目に見えない程のスピードだったろう。

たまに、
ガシャ〜ン…

割ったって気にしない!
なんてったって、たくさんあるからね。

洗えば洗うほど山が小さくなる。
お皿は僕を裏切らないんだ。
だけど皿の山がなくなりかけた頃に、富士山級の山が2つ続けてやって来たりする。

くぅ〜 (>_<)

まるで人生小劇場だ。

『時々タイムスリップ』 盛岡冷麺_e0071652_22553614.jpg
【夏の花。東京は赤坂にて】


洗い場は2人体制で、バイト仲間はみんな個性的だった。

昼間は保母さんをやっていて、夜はヒミツの仕事(皿洗い)の山村さん。
2つ年上の彼女はいつも、キムタクはかっこいいと言っていた。
機嫌が悪い日は、皿をぽちゃんと投げ入れるので水がかかって困った。

まだ学生だった藤君。
僕にいろいろと優しく教えてくれたなぁ。
いつの間にか僕の後輩とつき合ってたけど…。

皿洗い歴十数年で職場で最年配、僕と気が合わなかった内田さん。
いつもパチンコの話をしていた。
負けた日は無口なので平和だった。


生演奏喫茶でのバイトが決まって、半年で辞めた皿洗いだったけど。。


よく、作り過ぎた料理をタッパでもってきてくれた山村さん。
キティちゃんのタッパは数々の引っ越しにも関わらず、まだ持ってます。

後輩と結婚して、2児の父となった藤君。
まさかここまでくるとは。
今は認めてます。

最後のバイトの日に財布から1000円札を出して「選別だよ」ともたせてくれた、仲が悪かったはずの内田さん。
あの時ちょっと目が熱くなったんです。


ずるずるずる…
食べる冷麺とともに、思い出せば懐かしくなってきたよ。
みんな元気にしてるかな。


『時々タイムスリップ』 盛岡冷麺_e0071652_22521795.jpg
【見つけた。懐かしいよね(笑)】


七夕も終わり梅雨も終盤。
やがて北の国、盛岡にも暑い夏がやって来る。

チリンチリ〜ン

日陰の少ないお昼にのれんをくぐったら、注文するといいよ。
盛岡冷麺を。


つるつると懐かしい冷麺は、一足はやい夏の味でした。



【  おわり  】


『時々タイムスリップ』 盛岡冷麺_e0071652_23171428.jpg
【そろそろ飛ぼうかな】
この虫は、乗っかった草の一番先端からしか飛ばないみたい。
飛んでもすぐ落ちるし、見てておかしい(笑)。



by ak_essay | 2007-07-09 20:55
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