東京はずっと西の方、東青梅に来ていた。
茂った木立が続いていて見えはしないのだけど、耳をすませば川の音がしていた。 そこで、昼休みは居眠りせずに散策してみることにした。 パンとコーヒを持って河原への降り口を探して歩き始めた。 …ここはあやしいな。 生い茂る木立へ続く小さな道を見つけた。 ああ、山の匂いだ。 すっかり山道だ、熊とか出てきそう。 あるーひ(あるーひ) もりのーなか(もりのーなか)くまさーんに(くまさーんに)… 意外としゃれにならない歌だ。 もしクマさんに出会ったら、、 缶コーヒーを開けてパンと共に置いて逃げよう。 下の方から川の流れが出力大に聞こえてきた。 近いな。 ほらあった。 ここはきっと子ども達の秘密の場所なのだろう。 大切な道具が置きっぱなし。 大人にとられちゃうぞー(勝手にいじくっている)。 後に、この川は多摩川だと知る。 気持ちのよいところだ。 僕は靴下を脱いでお昼にする。 ようやく上手く鳴けるようになってきたうぐいすが嬉しくてしかたないのだろう、途切れることなく鳴いている。 たまに通過する薄雲と木漏れ日が、日射しを和らげてくれている。 自分たちで作ったような竹竿を見ると、さらに懐かしくなる。 そりゃ横になるさ。 はぁ、、気持ちいい。 こんな時、生きててよかったと思う。 目を閉じていると大地にとけ込んでゆきそう。 そもそも自然の一部やもんね。 時間の過ごし方は自分次第。 今日は歩いてみてよかった。 短い時間だけど、急速充電した感じ。 元気、元気、心から元気。 よっこらしょ。 さあ、そろそろ行こうかね。 帰り道。 バス停の近くに、ブラシのような花が赤く鮮やかに歩道を彩っていた。 みたこともなかったので写真を撮っていたら、近所のおばさんがやって来た。 みんな、ここで写真を撮ると言う。 『ブラシの木』だと教えてくれた。 木の下の方に『カリステモン(フトモモ科)』と札が掛かっていたので少し笑ってしまったが、自分も『ブラシの木』の方がいいと思った。 バスは5分遅れてやってきた。 風の吹く町はもう初夏の景色。 通り過ぎる橋の上から、昼休みの秘密の場所を探してみた。
by ak_essay
| 2010-06-05 21:21
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